交通事故における慰謝料の3つの基準
交通事故の被害者は、いろいろな面で大きな損害を被ってしまいます。まずはケガという身体面の損害を受けますし、車など所有物が壊れたり仕事ができなくなることで収入面の被害も受けます。さらに、ケガをして入通院したり仕事を休まざるを得ないことなどで精神的にも大きな苦痛を受けるはずです。
被害者は、加害者に対する損害賠償請求の中でこの精神的な苦痛に対する賠償金も請求できます。この精神的ダメージに対して加害者から支払われるお金が慰謝料です。実費が基本の治療費や物損の修理代・購入費用などと比較し、精神的な苦痛に対する慰謝料は個人差が大きいのが特徴で、難しい点でもあります。そのため交通事故としては同じような内容なのにもらう慰謝料額が全然違うという格差を少なくするために、慰謝料には算定基準が設けられています。交通事故の慰謝料計算の基準はひとつではなく、3つの基準があります。
その3つの基準とは、自賠責保険基準・任意保険基準・弁護士あるいは裁判基準です。これらの3つの基準のうち、どれを使うかで慰謝料の額は大きく変わります。一番安い基準は交通事故の被害者が最低限の補償を受けられることを目的に国が制定した自賠責保険の基準で、逆に一番高額に算出されるのは裁判の判例などを参考に計算する弁護士基準です。保険会社との示談交渉では、自賠責基準で計算された安い慰謝料を提示されることがあり、そのまま合意してしまうと被害者は損をしてしまうので要注意です。示談交渉で損をしないためには、被害者の方は早めに交通事故弁護士に相談をしてサポートしてもらうことがベストです。
主婦の休業損害について
交通事故で怪我を負って仕事を休まざるを得ないという事があります。そのときには被害者は休業損害を請求することができます。休業損害は、もし交通事故に遭っていなければ、得ていたと思われる収入のことになります。休業損害は仕事に従事している人と家事をしている人が対象になります。
会社に勤めている人が休業補償を請求するときには、過去三ヶ月間の給料の平均額を日数の三十で除すると一日分の休業補償額になります。交通事故に遭った日から完治に至るまでの日の中で入院したり通院したりして仕事を休んだ日数に一日分の休業補償額を乗じて、その交通事故の休業補償の金額を割り出します。交通事故に遭った日当日に受診したときは休業日数に加算されることになります。
専業主婦で収入がない場合は、賃金センサスで割り出される平均賃金を家事に従事している人の賃金と見なして、その金額をベースにして休業補償の金額を計算します。センサスとは、特定の社会的な事柄について一斉に行う調査のことで、特定の社会的な事柄が賃金の場合に賃金センサスといいます。賃金センサスは、日本の賃金について主要な産業に就いている労働者の賃金を様々な項目別に分類して分析したものです。
パートなどで働いていて一定の収入がある主婦については、賃金センサスで割り出される休業補償をとるか、パートの収入により割り出される休業補償をとるかの二択となり、二重取りはできないので注意が必要です。
事故の慰謝料は、いつ振り込まれるのか
不意の事故に巻き込まれた場合、予定してない出費が発生します。自身の治療費であったり車の修理費用だったりしますが、どちらにしても突然多額の費用が必要になるので、相手側から支払われる慰謝料で支払わなくてはいけないケースも出てくるでしょう。そんな時に気になるのが、慰謝料がいつ支払われるかという事です。
まず慰謝料は基本的に、相手側との示談が終了しなくては振り込まれません。
そのため保険会社が提示する示談に必要な書類を揃える必要が出てきます。また治療した場合はその診断書も大事な書類となるため、治療をしている間の振り込みは難しいと判断するのが妥当です。そして把握しておきたいポイントが、事故の慰謝料を振り込むまでの期限に決まりはありません。互いに話し合って支払い期限を取り決める慣例はありますが、共通したルールとしての支払い期限は存在しません。そのため相手側の保険会社が提示してきた慰謝料に納得がいかない場合は、満足がいくまで話し合うことも可能です。
もちろん慰謝料に納得して示談に応じる方法もあります。その場合は保険会社から必要に応じた資料が送られてきて、サインや捺印をすれば示談は終了です。慰謝料は書類にサインや捺印をしてから、約一週間後程度で振り込まれるケースが多くなっています。ただ保険会社によって処理速度に差があるので、気になる場合は示談する前にあらかじめ保険会社に振り込まれるまでの期間を確認しておくと安心です。